TOP > こだわるもの > 暦語句解説 | 暦 |
E-Mail : zatsunen■nifty.com (↑スパム防止中、"■"⇒"@"にしてね) Copyright(c)1999-2010 雑念の塊 (禁:無断転載) |
●暦の口上書き |
<参考文献> ●廿四節気(にじゅうしせっき) 古代中国でつくられた季節区分法。春分点を出て再び春分点達するまでの黄道線を黄経360度とし、これを24等分した位置に中気と節気(各12づつ〉を配置したもの。冬至より始めて黄道(太陽の視軌道)を12等分した点を中気と言い、中気と中気の中間点を節気という。約15日目に次の気が巡ってくる。 これにより、実際の季節とずれがちの旧暦上での日にちの補正ができる。 順番は、立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨・立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑・立秋・処暑・白露・秋分・寒露・霜降・立冬・小雪・大雪・冬至・小寒・大寒。 ■立春(りっしゅん) 廿四節気の一。旧正月寅の正節。太陽黄経315度のとき。寒さ厳しき中にも春の気が初めて立つ気節。冬と春の分かれ目で、節分の翌日でこの日を年越しと考える風習がある。八十八夜、二百十日、二百二十日はこの日が起算日である。 新暦では2月4〜5日頃。 ■雨水(うすい) 廿四節気の一。旧正月寅の中気。氷雪が溶けて雨水が温み、草木の芽萌えが生じる気節。 新暦では2月18〜19日頃。 ■啓蟄(けいちつ) 廿四節気の一。旧二月卯の正節。冬眠していた虫たちもそろそろ入口を開き、地上に這い出してくる気節。 新暦では3月5〜6日頃。 ■春分(しゅんぶん) 廿四節気の一。旧二月卯の中気。太陽黄経0度の時。春の最中で昼と夜が等分の時間になる気節。この日より昼が漸時長くなる。彼岸の中日。国民の祝日。 新暦では3月20〜21日頃。 気象学上、「春一番」は『立春から春分までの間に吹く秒速8m/S以上の南風』の定義あり。この日以降の南風は「春一番」とは言わない。 ■清明(せいめい) 廿四節気の一。旧三月辰の正節。桜花爛漫、天地万物清心の気満つる気節。 新暦では4月4〜5日頃。 ■穀雨(こくう) 廿四節気の一。旧三月辰の中気。このころの春雨は田畑を潤し、穀物の成長をたすける気節。 新暦では4月20〜21日頃。 ■立夏(りっか) 廿四節気の一。旧四月巳の正節。太陽黄経45度の時。春の気があせ、爽快な夏の気が初めて立つ。これより四季の夏。 新暦では5月5〜6日頃。 ■小満(しょうまん) 廿四節気の一。旧四月巳の中気。純陽の気が天地に満ちはじめ、万物ほぼ満足する気節。 新暦では5月21日頃。 ■芒種(ぼうしゅ) 廿四節気の一。旧五月午の正節。芒(のぎ)とは麦や稲のような穀物の実の先にある毛のこと。穀物みなの種を稼ぐ気節。麦を収穫し、稲を植える頃。 新暦では6月5〜6日頃。 ■夏至(げし) 廿四節気の一。旧五月午の中気。太陽黄経90度の時。昼がもっとも長くなる日。暑さはまだ本格的でなく、梅雨真っ只中。農家は多忙な気節。 新暦では6月21〜22日頃。 ■小暑(しょうしょ) 廿四節気の一。旧六月未の正節。日脚は徐々に短くなるが、暑気が徐々に満ちてくる気節。 新暦では7月7日頃。 ■大暑(たいしょ) 廿四節気の一。旧六月未の中気。暑気が絶頂に達する気節。夏の土用もこの頃である。 新暦では7月23日頃。 ■立秋(りっしゅう) 廿四節気の一。旧七月申の正節。太陽黄経135度の時。暑さ厳しき中にも秋の気が初めて立つ気節。これより四季の秋。 新暦では8月8日頃。 ■処暑(しょしょ) 廿四節気の一。旧七月申の中気。暑さもようやく峠を越して秋陰の気が満ちてきだし、暑さもほぼこれまでという気節。 新暦では8月23日頃。 ■白露(はくろ) 廿四節気の一。旧八月酉の正節。いよいよ秋がはじまり、野草に白露が宿りはじめる気節。 新暦では9月8日頃。 ■秋分(しゅうぶん) 廿四節気の一。旧八月酉の中気。太陽黄経180度の時。秋の最中で昼と夜が等分の時間になる気節。この日より昼が漸時短くなる。彼岸の中日。国民の祝日。 新暦では9月23〜24日頃。 ■寒露(かんろ) 廿四節気の一。旧九月戌の正節。朝露を踏むと一段と冷たくなり、秋の深まりゆく気節。 新暦では10月8〜9日頃。 ■霜降(そうこう) 廿四節気の一。旧九月戌の中気。秋の気も徐々に去り、朝霜の便りが聞こえてくる気節。 新暦では10月23〜24日頃。 ■立冬(りっとう) 廿四節気の一。旧十月亥の正節。太陽黄経225度の時。秋の気も去り、冬の気が立つ気節。日脚も目立って短くなる。 新暦では11月7〜8日頃。 ■小雪(しょうせつ) 廿四節気の一。旧十月亥の中気。冬の気が徐々に進み、寒い地方からは雪の便りも聞こえてくる気節。 新暦では11月22〜23日頃。 ■大雪(たいせつ) 廿四節気の一。旧十一月子の正節。北風が日増しに強くなり、しばしば降雪を見るようになる気節。 新暦では12月7〜8日頃。 ■冬至(とうじ) 廿四節気の一。旧十一月子の中気。太陽黄経270度の時。昼がもっとも短くなる日。寒さはまだ続くが、これより徐々に日脚が延びてくる気節。 新暦では12月22〜23日頃。 ■小寒(しょうかん) 廿四節気の一。旧十二月丑の正節。寒の入りとも言い、寒気いよいよ強まり降雪も多く、寒風も激しい気節。 新暦では1月6日頃。 ■大寒(だいかん) 廿四節気の一。旧十二月丑の中気。厳冬極寒で寒気甚だしき候なれど、春遠からじの希望を持つ気節。 新暦では1月20〜21日頃。 ↑この頁の先頭へ↑ ●雑暦(ざつれき)、年中行事(ねんちゅうぎょうじ) 二十四節気の他に様々な季節の移り変りを示すために補助的な暦日が定められており、これを雑暦という。 これらは農事と深い関係を持っているものが多く、民族行事や年中行事として広く用いられている。 臘日、旧正月、節分、初午/二の午/三の午、八十八夜、入梅、半夏生、二百十日/二百二十日、彼岸、十五夜/十三夜、社日、甲子、庚申、己巳、人日、上巳、端午、七夕、重陽。 ■臘日(ろうじつ) 廿四節気の小寒以降、二度目の辰(たつ)の日。一年の最後の日とされ、大晦日、大歳、おおつごもりともいう。臘というのは猟のことで狩りを行って獲物を先祖の霊に捧げる祭りのことで、立春と同じように年の改まる日とし、年末に行われるようになった。 冬の季(水)の陰気が終わる時で辰の日は土性の日、水が土に帰って潤って万物が生じる意。 水土の徳を感謝し神を祭る日。 ■旧正月(きゅうしょうがつ) 旧暦の正月。狭義の旧暦元旦。地方によっては新暦の元旦より重きをなす所あり。 ■節分(せつぶん) 本来は二十四節気の季候が変わる立春,立夏,立秋,立冬の前日のことであったが、次第に春だけに用いるようになった。現在では立春の前日の名称である。 年越し、年とり、あるいは大豆をもって悪鬼を追い払う追儺(ついな)、鬼やらい、豆まきともいう。 神社仏閣や一般家庭では豆をまいて鬼を追い払い、福を招き入れる。鬼は陰気、福は陽気、大豆は壮健(まめやか)をあらわし、豆を打って陰気を払い陽気を迎える意味をしめす。 新暦では2月3〜4日頃。 ■初午(はつうま),二の午/三の午(にのうま/さんのうま) 2月の最初の午(うま)の日を初午といい、お稲荷様をお祭りする。二の午、三の午と続ける地方もある。 江戸時代は子供が寺子屋へ入門する日であった。 ■八十八夜(はちじゅうはちや) 立春より数えて88日目。春から夏への境の頃。俗に「八十八夜の別れ霜」と称し、戸外で植物を育てたり種を蒔いても懸念なくなるとされ、農家は殊にこの日を祝い重んじる。 新暦では5月2〜3日頃。 ■入梅(にゅうばい) 太陽黄経が80度に達する時を称し、夏至を中心として30〜40日間梅雨の季節に入る頃を表す。 新暦では6月11〜12日頃。 ■結夏(けつげ) 仏教用語。陰暦四月十六日。夏安居(げあんご;夏の三ヶ月の間、僧が一ヶ所にこもって修行すること。夏行(げぎょう)、夏籠(げごもり)ともいう。)の初日。 ■半夏生(はんげしょう) 太陽黄経が100度に達する時を称す。七十二候の一つで、夏至の第三候で夏至から数えて11日め。一般に「つゆあけ」とも言われる。言葉の謂れは「半夏(カラスビシャクの漢名、かたしろぐさ)」という薬草の葉が白くなるところからきている。 この日は天から毒気が降るとか、地が陰毒を含んで毒草を生じるとして、すべての野菜を食べない。また種を蒔くことを忌むなどの禁忌がある。他に天からの毒気が水に混じるとして井戸に蓋をする俗信があった。 田植えはこの頃までに終り、半夏生の天候で稲作の豊凶を占っていた。 新暦では7月1〜2日頃。 ■解夏(げげ) 仏教用語。陰暦七月十五日。夏安居(げあんご;夏の三ヶ月の間、僧が一ヶ所にこもって修行すること。夏行(げぎょう)、夏籠(げごもり)ともいう。)を解くこと。夏明き。 ■二百十日(にひゃくとおか),二百二十日(にひゃくはつか) 立春より数えて210日目と220日目。稲の開花期だが、ちょうど台風の襲来期と重なるため、古来よりこの頃を要注意期とした。農家の厄日とされる。この日庭先に風切餅を長竿の先に付けて風の方向に立て、風祭りをする所もある。 新暦では9月1日頃と9月11日頃にあたる。 ■彼岸(ひがん) 春分・秋分の日の前後7日間を称し、入りから四日目が彼岸の中日(春分・秋分)となる。 彼岸の名称は、仏教でいう現世を離れ極楽浄土の岸に到るとの意味で、先祖を供養し、墓前に香華を手向けて仏事をなす。 また、暑さ寒さも彼岸までと言われるとおり、寒暖も峠を越して温和な季候となる。 新暦では春・入り3月18〜19日頃。明けが3月24〜25日頃。秋・入り9月20〜21日頃。明けが9月26〜27日頃。 ■十五夜/十三夜(じゅうごや/じゅうさんや) 十五夜は中秋の名月と称し、旧暦八月十五日夜の満月をお祭りする。 十三夜は旧暦九月十三日夜の満月を祭る。 十五夜を「前の月」十三夜を「後の月(のちのつき)」と称し、同じ居所で鑑賞する。片方だけ見る片見月は凶事を招くという伝説あり。 ■社日(しゃにち) 田の神・五穀の神を祀る日。春分・秋分にもっとも近い戊(つちのえ)の日。 春は田の神を祀って穀物の生育を祈り、秋は実りの収穫を五穀の神に感謝する。この日に「地神」「堅牢地神」を祀って会食をする地神講が現在でも各地で行われている。 ■甲子(きのえね) 甲子待ち(こうしまち、きのえねまち)の略称。干支の「甲子」に当る日。子祭ともいい、黒豆飯、茶飯を作り、大黒天を祀る日。 九星(きゅうせい、一白,二黒〜八白,九紫)を日に配する際、夏至に近い甲子の日より隠遁始めの日として逆に進め(九紫→八白→七赤…)、 冬至に近い甲子の日より陽遁始めの日として順に進める(一白→二黒→三碧→…)。 ■庚申(こうしん、かのえさる) 庚申待ち(こうしんまち)の略称。干支の「庚申」に当る日で、帝釈天を祀る。 人間の体内には三尸の虫(さんしのむし:彭侯子、彭常子、命児子)がいてその人の悪行を見ており、庚申の夜に体内から抜けだして天にのぼり、天帝にその罪科を報告するため、眠らずに夜を過ごすことを言う。この夜、男女が交わって懐胎すると、生れてくる子供は盗壁があるといわれた。人の目を盗んでする行為からきたものだろう。 また、庚も申も五行説で言う金気に当り、金気旺盛で天地万物の濁ったものをきれいにすると言われる日。善人には大吉、悪人には大悪日ともいう。 ■己巳(つちのとみ) 干支の「己巳」に当る日で、巳待ちといい、福神である弁財天をお祀りする日をいう。 弁財天は仏教で言う天部の神が音楽の神、のちに財宝を与える福神として崇められるようになった。また、蛇信仰から蛇は弁財天の使いと考えられ己巳が縁日となったものである。 巳には脱皮、変成の思想があるため、巳の日に墓参などすると年内にかかった忌みを祓うといわれる。また、厄年のものが厄払いをする日は巳の日と定められている。 ■人日(じんじつ) 五節句(人日・上巳・端午・七夕・重陽)の一つで、若菜の節句とも言い、七草粥を供えて祝う。 ■上巳(じょうし) 五節句(人日・上巳・端午・七夕・重陽)の一つで、雛祭りとして女児の桃の節句を祝う。昔は三月初めの巳の日に雛を祭ったことから「上巳」という。 ■端午(たんご) 五節句(人日・上巳・端午・七夕・重陽)の一つで、男児の祝い日。尚武にちなんで菖蒲の節句ともいう。菖蒲湯に入り、武者人形や鯉幟を立てて成長を祝う。 ■七夕(しちせき) 五節句(人日・上巳・端午・七夕・重陽)の一つで、七月七日の七夕を祝い、銀河祭り・星祭りともいう。陰暦七月七日の夜、天の川の東岸にある牽牛星と西岸にある織女星が、年に一度相合うという中国の伝説から来ており、笹竹に五色の紙をつるし詩歌を書いた短冊を着けて二星を祝う。 ■重陽(ちょうよう) 五節句(人日・上巳・端午・七夕・重陽)の一つで、菊の節句ともいう。陽数の最大「9」が重なるところから来ており、菊花を酒にくんで呑み、栗飯を食して不老長寿を祝う。 ■酉の市(とりのいち) 十一月の酉の日に鷲(おおとり)神社(大鳥神社)で行われる祭。初酉の日を一の酉といい、順次に二の酉・三の酉と呼ぶ。特に東京下谷の鷲神社の祭は名高く、縁起物の熊手などを売る露店で浅草辺までにぎわう。 俗に三の酉まである年の冬は火事が多いと言われている。 ↑この頁の先頭へ↑ ●選日(せんじつ)、暦日(れきにち) 日の吉凶をみて吉日を選ぶこと。暦注の十二直・二十八宿・六曜(六輝)なども含まれる(その3つは別項目に記載)。ここにはそれ以外の日の吉凶に関り有るものを集めた。 八専、十方暮れ、天一天上、一粒万倍日、不成就日、三隣亡、天赦日、三伏日、土用、犯土。 ※吉日と凶日が重なる場合は常に吉日が勝る(卜占の宗派によっては、吉が勝るがその効果が半減するともいう)。 ■八専(はっせん) 壬子(みずのえね)の日より癸亥(みずのとい)の日までの12日間のうち、丙辰(ひのえたつ)と戊午(つちのえうま) 、壬戌(みずのえいぬ)、癸丑(みずのえうし)の4日間(間日という平日)を除く8日間を八専という。干と支の同気が重なる日。1年に6回有る。 天地陰陽の気が八専に至って偏るため、婚礼や人の雇入れ、物の売買や神仏事には凶とされる。ただし、八專中は地均し・棟上には大吉日である。 ■十方暮れ(じっぽうぐれ、じゅっぽうぐれ) 前述の八專の日とは逆に、干と支の気が相克する日。甲申(きのえさる)の日より癸巳(みずのとみ)までの10日間をいう。 天地の陰陽気が合わない日なので労して功少なく、新規事の開始や相談事・婚礼など和合事や旅行移転には凶とする。 また十方暮れの最終日は次の天一天上の日となる。 ■天一天上(てんいちてんじょう) 人事の吉凶禍福を司る天一神が天上する日。天一神は癸巳(みずのとみ)の日より戊申(つちのえさる)の日までの16日間天に有り、その間 は天一神の障りはないとする。ただし天一神の代わりに日遊神が地を守り、日遊神は人家に住し不浄を嫌うため、家の造作を忌む。 ■一粒万倍日(いちりゅうまんばいび) 一粒の種が一万倍に増える日とされ、事始め、特に商売始め、開店には吉日とされる。播種・投資などに吉だが、逆に増える意味より、借金には大凶日となる。 ■不成就日(ふじょうじゅび、ふじょうじゅにち) 障りがあって物事が成就しない凶日。結婚・開店・柱立て・命名・移転・契約には不向きである。万事見合わせるほうがよいとされる。 ■三隣亡(さんりんぼう) 宇宙創造の霊「三輪宝」を祀る日。物の根本を尊重する所から、祖先を敬いその恩を感謝する日である。 またこの日は十二支の活動が凶変を現わすと言われ、他事には差し支えないが、普請造作や柱立て・棟上には凶日となる。 ■天赦日(てんしゃび、てんしゃじつ) 天の万物を養い育ててその罪を許す日。干支相生・相克の中庸を得る大吉日とされ、天の恩恵により何の障害も起きない日。 特に結婚・開店・事業創立・拡張などに用いて最良の日となる。 ■三伏日(さんぷくび、さんぷくにち) 夏至以降の三度目の庚の日を初伏、四度目の庚の日を中伏とし、立秋直後の庚の日を末伏とし、初伏・中伏・末伏で三伏という。 庚は金の気であり、夏の火勢が庚の金を剋するため、播種・旅行・婚姻などの和合事は忌むべき日とされる。 ■土用(どよう) 土の働き旺盛の気節の意。五行を四季に配すれば、春は木性、夏は火性、秋は金性、冬は水性であり、残る土性が 廿四節気の立春・立夏・立秋・立冬の直前18〜19日間に配され、その期間を土用という。 土用中は四季の変化期に当り、土気旺盛なので、動土・穴掘りを忌む。基礎工事や土台作りも凶。また鍼灸にも凶とする。 ただしそれぞれ間日あり、障りが無い日とされる。春の土用は未・丑・酉の日。夏は卯と辰と申の日。秋は未と酉と亥の日。冬と卯と未と寅の日。 また、夏の土用中の土性の気が強い丑の日を土用の丑の日と称し、暑気払いにうなぎを食す風習がある。 ■犯土(つち) 庚午(かのえうま)の日より丙子(ひのえね)の日までの7日間を大犯土(おおつち、だいつち)とし、 戊寅(つちのえとら)の日より甲申(きのえさる)の日までの7日間を小犯土(こつち、しょうつち)と称す。 犯土の故事来歴はいろいろの説があるが、本質的には土の働きに休養を与える意味からか、土を犯すことを禁ず。動土・穴掘り・築土は凶。 ただし、途中の丁丑(ひのとうし)の日は間日であり、この日だけは障りがない。 ↑この頁の先頭へ↑ ●六曜(六曜星・六輝) 足利時代末頃に中国から伝来し、暦に掲載されて日の吉凶を示すものとして使われた。明治以降は他の暦注が禁止されたり衰えたりしたのに代り、盛んに用いられ現在に至っている。 その根拠は不明であるが、中国の小六壬法が起源であろうといわれている。時代によって表現や順序が異なる。 六曜をどのように配置するかは月(旧暦〉によって機械的に配置されるので見た目より簡単で憶えやすい。 一月は先勝から始まって友引・先負〜の順で繰り返し、月の終わりで打ち切り、二月は友引より始まって同じ順序で繰り返す。この結果、同じ月日の六曜星は年が変っても変化しない。 先勝・友引・先負・佛滅・大安・赤口の順。 ■先勝(せんしょう、せんかち、せんかつ〉 先勝日の略。万事朝から昼までが良く、自分の方から事を始めれば吉という。急ぎの事や公事沙汰、訴訟に適する日とされる。午後は凶。 旧暦正月朔日と七月朔日に配す。 ■友引(ともびき) 友引日の略。何事も引き分けで勝負がつかない日とされる。朝晩は吉。正午だけ凶。葬礼を出すと誰かが死の世界へ引かれるという理由で、現在に至ってもなおこの日は公営の葬祭場が休日となっている。 逆に友を引く、というところから結婚には吉の日とされる。 旧暦二月朔日と八月朔日に配す。 ■先負(せんぷ、せんぶ、せんまけ) 先負日の略。先勝と逆で公事や急用を忌み自分から事を進めず控えめにし、仕掛けてくるのを待つのがよいとされる。 朝から昼までは凶。昼過ぎから日暮れまでは吉。 旧暦三月朔日と九月朔日に配す。 ■佛滅(ぶつめつ) 仏滅日の略。古くは物滅と書かれた。万事に凶とされる日。病めば長引くという説もあり。移転・開店などを忌み禁ずる。何事にも手を出さないのをよしとする大悪日。 旧暦四月朔日と十月朔日に配す。 ■大安(たいあん、だいあん) 大安日の略。すべてのことに吉であるとされ、旅行・移転・開店・婚姻はもとより勝負事にも吉とのことで結婚式場は盛況を極める。 旧暦五月朔日と十一月朔日に配す。 ■赤口(しゃっこう、しゃっく、じゃっこう) 赤口日の略。万事に凶で大悪日とされるが、午の刻(正午〉だけは吉という。赤口という字の連想から刃物で怪我をする日とされ、大工などには特に嫌われたらしい。 旧暦六月朔日と十二月朔日に配す。 ↑この頁の先頭へ↑ ●十二直(中段〉 日の吉凶をあらわす暦注の一つで、建(たつ)、除(のぞく)、満(みつ)、平(たいら)、定(さだん)、執(とる)、破(やぶる)、危(あやぶ)、成(なる)、収(おさん)、開(ひらく)、閉(とず)の十二からなる。 十二客、十二建とも呼ばれるが、かつては暦の中段に掲載されていたことから「暦の中段」または「中段」と呼ばれる。通常はひらがな表記が多い。 北斗七星の斗柄(ひしゃくの柄に当る部分〉の先端にある二等星は、破軍星、剣先星、いくさぼしと名づけられているが、この星が周期運動に従っていろいろな方角を指すことから、陰陽道ではこの破軍星の剣先の指す方向が不吉といわれる。 この破軍星の指す方向を基準にして十二直の順序が決められる。たとえば立春(正月節〉の初昏(日が暮れた頃の薄明の頃)には、破軍星は寅の方角(東から30度北寄り〉を指すところから、立春の後の最初の寅の日を建(たつ)とし、翌日は除、以下満、平〜と続く。同じようにして二月節(啓蟄〉の初昏には破軍星は卯(西〉を指すことから、啓蟄の後の最初の卯の日を建とし、以下除、満〜と続く。 ただし節気に当る日(立春・啓蟄など)はその前日の十二直と同じ物を使う約束になっているため、配列自体は機械的ではあるがかなり紛らわしい。 十二直が下記のような日の吉凶を表す根拠は不明である。また吉凶自体も様々な説があり、極端な例では吉とする説がある一方で凶と言う説があるなど。概して使われている文字の意味や雰囲気に引きずられているようだ。 ■建(たつ) 十二直(中段)の第一。 吉→種蒔き、神仏祭祀、棟上、旅行、移転、入学、開店、新しい衣類裁ち、婚姻、元服、柱立て。 凶→土を動かすこと、船乗り、蔵開き。 ■除(のぞく) 十二直(中段)の第二。 吉→煤払い、神事、祭礼、薬調合、針刺、灸、種蒔き、理容、爪切り、療病、医者にかかり始め、物を捨てる。 凶→結婚、移転、旅行、金銀を出すこと。(井戸掘りは説により凶〉 ■満(みつ) 十二直(中段)の第三。 吉→家作り、移転、嫁取り、開店、衣類裁ち、造車、普請、塗竃、神祀、旅行、種蒔き。 凶→土を動かすこと、服薬始め。 ■平(たいら) 十二直(中段)の第四。 吉→移転、相談事、普請造作、衣類裁ち、旅行、神祀、嫁取り。 凶→池堀、溝堀、種蒔き、服薬始め、畜類飼始め、談判。 ■定(さだん) 十二直(中段)の第五。 吉→建築、結婚、物品売買、種蒔き、衣類裁ち、起土、牛馬を買うこと、移転、祠祀、井戸掘り、祈祷、宴会 凶→訴訟、旅行、植木の植え替え、医療始め。 ■執(とる) 十二直(中段)の第六。 吉→神仏祭祀、婚姻、種蒔き、井戸掘り、建築造作、五穀取入れ、物買入れ、漁猟。 凶→移転、旅行。 ■破(やぶる) 十二直(中段)の第七。 吉→訴訟談判、家屋の取壊し、出猟。 凶→約束相談、物の取り決め。 ■危(あやぶ) 十二直(中段)の第八。 吉→樹木を伐る。飲酒造り、結婚、建築、種蒔き。 凶→旅行、船旅、登山、舟のり、高い所にのぼることや馬に乗ること。 ■成(なる) 十二直(中段)の第九。 吉→祠祀、移転、種蒔き、入学、旅行、結婚、婚姻、開店披露、柱立て、衣類裁ち、普請、新たな事を始める。 凶→訴訟、談判。 ■納(おさん) 十二直(中段)の第十。 吉→田猟、五穀収納、商品買入れ、入学、結婚、移転。 凶→葬儀、旅行、酒造り、事業始め。 ■開(ひらく) 十二直(中段)の第十一。 吉→祠祀、入学、元服、治病、井戸掘り、普請、移転、婚姻、開店開業、家作。 凶→葬式その他の不浄事。 ■閉(とず) 十二直(中段)の第十二。 吉→水防堤を築くこと、便所を作ること、穴を塞ぐこと、墓をたてること、金銀を納めること。 凶→柱立て、婚姻、開店、鍼灸。 ↑この頁の先頭へ↑ ●二十八宿 太陽や月などの天体の位置、あるいは月と恒星間の位置の変化を知るために考え出されたもので、黄道(太陽の視軌道)に沿った天球を28の不等な区域に分けて天体の位置を示す基準とするために使った28の標準星座のことを言う。 地球からみると月は27.3日で恒星間を動いて天球を一周する。その月の道筋付近の星座に一日一宿の割りで宿りながら運行すると考えたわけである。 陰陽道では天体の運行が人間界に影響を及ぼし支配するとして、これら月の二十八宿を月や日に割り当てて吉凶を占うのに用いて来た。明治6年の太陽暦採用の際に他の暦注とともに二十八宿の掲載が禁止されたが、その後復活し、民間暦ではいまだ吉凶を示している。 二十八宿をどのように月日に割り当てるかは、時代により差があり異説もあったが、貞享の改暦以後は月・日に連続して用いるので、規則性はない。どの日がどの宿に当るかは暦を見る以外に方法はない。 種類は、東方(蒼竜)『角、亢、氏、房、心、尾、箕』、北方(玄武)『斗、牛、女、虚、危、室、壁』、西方(白虎)『奎、婁、胃、昴、畢、觜、参』、南方(朱雀)『井、鬼、柳、星、張、翼、軫』。
いちばん上,ひとつ上 |